天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ユキノシタ

円覚寺にて

 ユキノシタ科の多年草。本州から九州まで分布する。5月から7月にかけて清楚な花が咲く。花びらのうち、下向きの2枚が長い。名前の由来ははっきりしないが、白い舌状の花の形から「雪の舌」、それが変じて「雪の下」とか、雪のような白い花をかぶってその下に緑の葉を広げるから、といった説がある。漢名は、まだらで毛のある丸い葉っぱから虎耳草という。鴨足草とも当て字する。葉は食用になり天麩羅にすると旨いというが、まだ食べたことはない。火傷の貼り薬とかひきつけの薬にも使われたらしい。

 

      加茂川のここに始まる鴨足草   廣瀬ひろし
      夢殿のほとりの別れゆきのした  八木三日女


  雪の下花咲きたりと風ありて揺らぐに見出づそのかそけさを
                      窪田空穂
  虎耳草の花こまごまとけふ咲けど愛しみ寄らん汝はすでに亡し
                      木俣 修