天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

剣崎灯台

剣崎灯台

 京浜急行三浦海岸駅から剣崎行のバスに乗って終点で下車。徒歩20分ほどのところに灯台はある。剣崎は、「けんざき」と言う人もいるようだが、「つるぎさき」が正称らしい。名前の由来は、次のようなもの。
徳川幕府の官材を積んだ五百石船が、この沖で暴風のため難破し、木材もろとも海底に沈んだ。そこで海南神社の神主が海に剣を投じて龍神の怒りを鎮めてもらおうと祈ったら、すぐに風波が静まり沈んだ木材がことごとく浮び出たという。これによりこの地を剣崎と呼ぶようになった。
 剣崎灯台は、観音崎灯台城ヶ島灯台に続いて日本で 三番目にできた洋式灯台。明治4年に点灯。大正12年の関東大震災で破損、大正15年に再建された。千葉県の野島崎灯台とともに東京湾を出入りする船舶の重要な案内役である。


      鵙鳴くや大根畑の剣崎
      黒潮をタンカーが切る芒の穂
      
  とびきたる為朝の矢にうがたれし浜に泉の湧き出づる井戸
  黒ずめる東京湾の奥ふかく高層ビルの林立が見ゆ
  剣崎海の側より見上ぐればガラス目玉の白き灯台
  あざみ咲く道をたどれば行き止まり剣崎とふ断崖に立つ
  太后陛下行啓記念碑の横に立ちたり白き灯台
  午前六時三十分に出港す今日の釣りものワラサ求めて
  揚陸の釣舟横に坐りゐて老人ひとり網をつくろふ
  松輪とふ漁村ありけり関鯖に劣らぬ味の鯖を釣る海