天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

千葉産の秋鯖

 京浜急行三浦海岸駅からバスで剱崎に向かう手前に松輪というバス停があるのを知って、ああここが有名な松輪鯖を釣る漁業基地なのか、と認識をあらたにした。この地区では、6〜11月の漁期に沿岸域に来遊するマサバを一本づつ釣上げるサバ漁が盛んである。釣り上げたサバはすぐに氷付けにして出荷する。旬の時期には胴体から尾に黄色の筋が入ることから「松輪の黄金鯖」とも呼ばれる。豊後水道で獲れる関サバに匹敵するとして、通常のサバの十倍以上の値がつく。残念ながら未だ賞味したことがない。
 鯖にはマサバとゴマサバがいて、通常サバと言ったらマサバを指す。マサバの旬は「秋サバ」と呼ばれる9月から11月。 冬に備えて旺盛にエサを食べる時期なので、脂がよくのっている。一方のゴマサバは本来脂質が少ないので、一年を通して味が変わらない。マサバの味が落ちる時期には、こちらも食べられる。
  放射能ふくめる雨に霧らふ店さかな屋の鯖ごろごろ光る
                     窪田章一郎
  割き鯖を田に干し並めし浅峡に海のなぎさの近き白波
                     佐藤佐太郎
  網に入る子鯖は子鯵をくわえたりくわえたるまま網に息づく
                     川合雅世

 生きている鯖の写真を撮ろうと江ノ島水族館に行ったのだが、鯵や鰯は泳いでいたが、鯖は何故かどこにも見当たらなかった。


      秋鯖を二尾買ふ朝の市場かな
      秋鯖の味噌煮つくるや妻の留守


  千葉産の秋鯖一尾ぶつ切りに生姜きざみて味噌煮にしたり