天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

銀杏もみじ(2)

藤沢・遊行寺にて

 今年も藤沢の遊行寺境内の大銀杏がみごとに黄葉した。この木は昭和46年7月5日に市の天然記念物に指定された。現在の樹高は約21メートルだが、昭和57年以前は約31メートルあったらしい。8月の台風で幹が折れたせいとのこと。この時、折れた幹の中は空洞で炭が入っていたことから、過去に火災に遭ったと推定される。またこの時の年齢測定で樹齢は250年以上となった。雄株なのでギンナンはできない。
 ちなみにイチョウは中国原産で、わが国には十二世紀以降に渡来した。漢字では鴨脚樹、銀杏、公孫樹などと書く。雄株の精子は、1896年に平瀬作五郎により発見された。藤沢市では、江ノ島や龍口寺にも大きなイチョウがある。


      羽ビビと赤き実の陰笹子鳴く
      ふくらみて橋桁洗ふ冬の潮
      経唱ふ公孫樹落葉の刑場趾
      撫でられて猫目を閉づる冬麗(ふゆうらら)
      
  西に向き手合はす一遍上人の前にそびゆる公孫樹のもみぢ
  青空に大手ふりあげ広げたり公孫樹大樹は黄葉の衣
  生い立ちて銀杏もみぢは納経の五重塔の丈を超えたり
  御神木公孫樹もみぢは「むすびの樹」桃色絵馬のあまた
  かかれる


  地を染むる公孫樹もみぢに鎮もれり朝日背にせる児玉神社は