天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ユキノシタ

大磯湘南平にて

 ユキノシタユキノシタ属の多年草。湿った日陰の地に自生する。開花期の葉を乾燥させたものは生薬になり、それを煎じて飲めば利尿、消炎などの効果があるらしい。虎耳草(こじそう)という面白い名前がある。その葉は天ぷらなどにして食べられるというが、まだ経験はない。



  雪の下花咲きたりと風ありて揺らぐに見出づそのかそけきを
                        窪田空穂
  夕ごころたゆたいいるとゆきのした白き炎のひそやかに立つ
                        只野幸雄
  春すでに逝かむとするか虎耳草の群生の先の土乾きつつ
                        宮 柊二


  木下闇五月の日差はだらなしわが肺尖に青浸みわたる
  山頂の社の跡の木漏れ日をとびてかがよふ蝶と精霊
  山上のしじまを破りわき立てり麓を駆くるサイレンの音