天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

荒井浜

神奈川県三浦市の荒井浜にて

 「神奈川県三浦市の荒井浜でクサフグの産卵がピークを迎え、神秘的な生命の営みが訪れる人たちを驚かせている。」という記事が写真付きででていた。草河豚はフグ科の硬骨魚で、本州中部以南の沿岸に多く生息する。全長約15センチ、背部は淡い灰青色で淡黄色の斑点が多数あり、腹部は白い。
 ぜひ現場を見ておきたい、と意気込んで京急三崎口駅から油壺行きのバスに乗って荒井浜に駆けつけたのだが。


      うぐひすや電車出で行く三崎口


  まなかひに足を組みたる人あれば集中できず朝の読書は
  もののふの脂、血潮が満ちしとふ壺なす湾にヨットがうかぶ
  昨日読みし新聞記事のクサフグの一尾だに見ず海草の浜
  クサフグの産卵見むと荒井浜汀たどれど虚しかりけり
  背後には東大臨海実験場何を探せる学生たちは
  産卵の跡形もなき荒井浜新聞記事と写真疑ふ
  フジツボの岩踏みしめて汀までたどるわが身をあざ笑ひたり
  くたびれてわが引き返す木下闇うぐひす近く鳴きにけるかも
  断崖の上の木立の薄闇に三浦道寸の墓見つけたり
  時を経し卒塔婆あまた抱へたる樹は鎮もれりもののふの墓
  帰るさに迢空賞の評を読む『ゆきあひの空』『母系』の二冊


帰宅してあらためてインターネットで調べてみた。五月後半から七月前半の満月や新月の2〜3日後、夕方の満潮時に、海岸の波打ち際の陸上に産卵する、と出ていた。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/jissen/kusafugu.htm