天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋のズーラシア

オカピ

 秋風が吹く頃になると週日の動物園は、幼稚園児たちの列でにぎわう。幼稚園ごとに同じ服装をしていて身体の大きさも同じようなものだから、豆粒が並んで歩いているようで、どこかユーモラス。ただ、話している内容にはギョッとすることもある。


  手をつなぎ二列に行ける園児らの「ばばあ」
  といふをたしなめてをり


  あからひく日に背を向けて寝てゐたり
  インドライオン、レッサーパンダ


  長き首曲がりて顔は羽根の中一本足にマナヅルねむる
  ヤブイヌは落ち着かざりき短足にせはしく駆けて檻をめぐりぬ
  首さげて時に羽ばたくコウノトリ鋭きまなざしに吾を見つむる
  つれあひを亡くしし雄のシロフクロウわが口笛にふり向きにけり
  檻をくる人目厭ひてベニジュケイ木の下蔭をえらびてゆくも
  秋ふかみ朝をねむれる雲豹は檻の横木に身体横たへ
  南極の白夜想ふかペンギンは囲へる空に目をしばだたく
  アフリカの森の記憶を嗅ぐらむかオカピは鼻を空に向けたり
  杖をつき壁にすがれる老人を照らし出せり残暑のひかり
  

 よこはま動物園ズーラシアは、「生命の共生・自然との調和」をテーマに、1999年4月、神奈川県横浜市旭区に開園した。ズーラシアという名称は、市民公募で選ばれた。横浜の野毛山動物園の動物をもまとめて収容する計画だったらしいが、市民の要望で、野毛山動物園はもとのままに残された。動物を世界の気候帯・地域別の7つのゾーンに分け、約70種400点が飼育・展示されている。世界三大奇獣(ジャイアントパンダオカピコビトカバ)のひとつ、オカピでも有名。種の存続も図っている。
 オカピについて: 偶蹄目キリン科の哺乳類。1900年にコンゴ民主共和国で発見された夜行性で木の葉や新芽を食べる。生きた化石といわれる。