天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三島・水辺の文学碑

太宰 治の碑

 JR三島駅には、伊豆修善寺柿田川を訪ねる際に、たびたび下車した。駅前の桜川沿いに、三島市を作品に書いた文学者の碑が数メートル置きに並んでいる。町起し企画の一環であろう。俳人歌人の碑をあげると、


      すむ水の清きをうつす我が心
                   宗祇
      面白やどの橋からも秋の不二
                  正岡子規

  水底にしづく圓葉の青き藻を差し射る光のさやかに照らす
                        窪田空穂
  町なかに富士の地下水湧きわきて冬あたたかにこむる水靄
                        穂積 忠
  わが庭に降り積りたる白雪は真向ふ富士の上までつづく
                        藤岡武雄

などを見ることができる。これらとは別に、三島大社の境内には、


  のずゑなる三島のまちのあげ花火月夜のそらに散りて消ゆなり
                        若山牧水
の歌碑がある。
 駅の南には、富士の溶岩流の上にできた森の楽寿園がある。公園の中心は、小松宮彰仁親王の別邸である。これは明治23年に造営され、昭和27年から市が公園として管理運営している。
  
      ジョウビタキ溶岩流の森に鳴く
      ちちろ鳴く鞍馬燈籠の日蔭かな


  幹ふとき楠に回せる注連縄の下に洞あり祠納むる
  熔岩の冷えしを抱へ生ひ立てる松を見上ぐる秋 楽寿園
  熔岩の冷え固まりて赤黒き累々とあり水涸れし池
  五メートル間隔におく文学碑歌人俳人詩人作家の
  鴨あまた棲みつきゐたり涌水の小川に咲ける梅花藻の花
  梅花藻の花咲く川に棲みつきて故郷忘れし鴨ならなくに
  拝礼を巫女が見守る神妙に入社入学合格祈願