天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

磨崖仏

横須賀市鷹取山の磨崖仏

 岩壁に彫った仏像のことである。インドのアジャンター石窟、中国では、四百年かけて彫った黄河のほとりの龍門石窟 など仏教圏には大がかりなものがいくつかある。日本でも臼杵磨崖仏を代表として、各地に点在する。
 ここでは、横須賀市鷹取山の小さな磨崖仏を紹介する。横須賀線東逗子駅下車、神武寺経由で尾根道をたどるのが、わが通常のルートである。このあたりの山の地質は、第三期層の凝灰岩で、加工し易い。明治から昭和初期にかけて、石材が切り出されていたため、絶壁が多く見られる。それを利用したロッククライミングの練習場になっている。
 ここの磨崖仏の弥勒菩薩像は、個人の依頼により、逗子市在住の彫刻家が昭和四十年頃に制作したもの。


      岩壁にとりつく小春日和かな
      
  電流の音の弾ける鉄塔が尾根に並びて町に続けり
  袈裟懸けに皹はしたる磨崖仏 酒ワンカップが爪先にあり
  ハーケンを打ち込みし跡弾痕のごとくのこれる谷戸の岩壁
  「バスセンター行きか」と問へり前面にバスセンターと表示のバスに