天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

妙法の庭

妙法寺にて

 鎌倉の大町を歩いた。大巧寺、常栄寺、八雲神社、安養院、安国論寺妙法寺 というルートである。そのむかし、日蓮が説法して歩いた場所。妙法寺の境内には、午前中ということもあって、訪問客は誰もいない。みどりの苔むした石段に朝の木洩れ陽が美しかった。


    手玉石ふたつ置かれて楠若葉
    雨やみぬ仏足石の桜しべ
    苔むせる石階まもれ著莪の花
    鐘楼の撞木はづせり著莪の花
    法の庭なつかしき著莪の花


  庭草をひく媼には気がつかずわが目をこらすシラーピルビアーナ
  注連縄の楠の大樹の根方なる新羅三郎手玉石ふたつ
  天辺の欠けたる小さき印塔は北条政子の墓と伝ふる
  関東で最もふるきと伝へたり躑躅がかこむ宝篋印塔
  樹齢約六百五十年若葉せる日叡上人お手植蘇鉄
  古りてなほ姿勢くづさぬ印塔は五郎入道正宗の墓