天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三渓園の亀たち

横浜三渓園にて

 横浜三渓園の池には、冬を過ごしていた多くの水鳥たちの姿は全くなかった。代って、こんなにもいたのか、と思うほどたくさんの亀が黄菖蒲の咲く水辺で甲羅干をしていた。水面には羊草が繁茂し、金色の蘂を抱いて純白の花が開いていた。内苑の記念館では、新緑と題した下村観山や原三渓の掛軸を展示していた。


    水にごる池草叢の行々子
    寝ころぶは白つめ草の花の床
    渓流の音の山路を日傘くる
    甲羅干す亀と見てをり羊草

    
  ひつじ草花咲く池に水鳥のすがたは見えず春ふかみかも
  よしきりの声あたらしき池の辺に三渓園は黄しやうぶ咲けり
  淀どのが扇に書きしひめごとか人めよくらむゆめのかよひ路
  観山の押印見ゆる掛軸は三筋垂れたる白藤の花
  菖蒲咲く池の空とぶつばめ二羽原三渓の朦朧体は