天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蒲の穂

藤沢市新林公園にて

 ガマ科の多年草。蒲の花粉には止血、利尿の効能がある。大国主命が、ワニに毛皮を剥がれた因幡の白うさぎを治療した時に、これを用いた。
漢字の「蒲」を入れた熟語は多い。蒲団(ふとん)の字は、昔、ガマの綿毛を寝具に入れたことから。蒲鉾(かまぼこ)は、最初、竹輪のような形をしており、ガマの穂に似ていることから。蒲焼(かばやき)は、うなぎを筒状に切って焼いた形がガマの穂に似ていることからきている。


     蒲の穂へ日は縦に降る古墳村    鍵和田釉子
     溶鉱炉蒲の穂絮を流しけり     飴山 實


  蒲の花かなしくも咲き池の端に夕べ明るき日かげさしたり
                      尾山篤二郎
  鴉らのわたりゆくとき青きかな水の上四五寸のびし蒲の芽
                      前川佐美雄