南天の実
メギ科の常緑低木で東海道以西に分布。南天は、難を転ずるとの言伝えあり。日本の南天は自生のものかどうかは不明という。果実の色には、白や紫もあるというが、まだ見たことはない。
南天のしげみに降りてつもらねばくれなゐの実は雪にぬれをり
尾山篤二郎
南天の実はくれなゐににほへれどここの焼跡に来る鳥もなし
木俣 修
一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております
山崎方代
南天の朱実は雪の雫して元日の陽を鮮しく浴む
富小路禎子
日のささば色あざらけく照り出でよ雪にひそめる南天の赤
来嶋靖生
照手姫之墓のうしろの南天の実はあかあかと朝の日に照る
[注]照手姫の墓は、遊行寺の塔頭・長生院の裏手に、小栗判官満重と十勇士の墓、鬼鹿毛(満重の愛馬)の墓と並んである。なお、右上の写真は、鎌倉・瑞泉寺の境内で撮ったもの。