天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

震災に思う(2)

光文社文庫

 大磯から湘南平を歩いた。東北関東大震災のことが頭を離れない。土曜日だが、さすがにこの時期、山道を散策する人影は無い。買いものに走っているのだろう。鴫立庵でも訪問者は私の外誰もいなかった。


     地震(なゐ)跡をいたむ鴫立庵の春
     小鳥きて鴫立庵をにぎはせり


  みつまたの黄花のむかう青空に辛夷の花の白くはかなき
  諸葛菜韮の花咲く頂きにのぼりてながむ春雪の富士
  今ここに東海地震きたりなば降り落されむ展望台に
  地震のきたらば歌碑句碑崩れむと鴫立庵の庭に思へり
  テレビ画面に地震警報出でたれば「幸福の樹」を息つめて見る