天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

震災に思う(1)

光文社文庫

 この度の東北関東大地震と大津波は、原子力発電所の防護設備や港湾の防波堤などの設計値をはるかに上回るものであった。現在の地球物理学や原子力工学のレベルが、まだまだ現実の自然現象に追随できていないことを暴露した。
 大災害が発生して初めて、石油、電力、道路、食糧などの供給能力の重要さを痛感する。例えば、これからの電力について考えると、石油や原子力には限界があるので、太陽光発電をなんとしても普及させる必要がある。
 悪夢のような惨状を見ると、小松左京の古典的サイエンス・フィクション日本沈没』が、しきりに思い出される。だが、各国の支援や災害現場で活躍する自衛隊消防庁、警察官、社員たちの姿は、我々に大きな勇気を与えてくれる。復興の春はもう目の前だ。


     沈丁花マスクに防ぐ花粉症
     余震ありはくもくれんの遊園地
     地震(なゐ)つづく日本列島梅ま白
     国々の支援とどきて桜咲く
     
  近づけど砂つひばみて動かざり青みどりなる羽根の山鳩
  首のべて鵜の鳥二羽がとまりたり川にかかれる水道パイプ
  停電に何しやうもなき人々が里山道に挨拶交はす
  溜池の杭にとまれる鵜の鳥は思慮深く見ゆ震災の春
  早咲きの桜の下に犬つれて二人の主婦がおむすびを食む
  腰に吊る携帯電話に緊急の地震通報 別音に鳴る