天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

アメンボ

座間谷戸山公園にて

 半翅目アメンボ科の昆虫。漢字では「水馬」を当てる。カワグモともいう。中後肢は長く、先端に毛の束があり、表面張力で体を水面に保ち滑走する。前肢は短く、食物をとるのに用いる。日本全土、中国などに分布する。日本には20種余りがいるという。俳句の例は『長谷川櫂全句集』から引いた。

     水馬釘のごとくに散らばれる   長谷川櫂
     松風やさばしる水に水馬     長谷川櫂
     老松の花にまじるや水馬     長谷川櫂


  あめんぼの足つんつんと蹴る光ふるさと捨てたか
  ちちはは捨てたか           川野里子


  水面に映れる雲へ乗りたればあめんぼ自在に空を
  駆けゆく               阪口光子


  水馬きて水のおもてをおす凹のほのかにくらき季節
  となりぬ               柏崎驍二


  鋼鉄の脚に踏んばるあめんぼう水面をりをりたわませてゐる
                     石橋妙子
  水無月の表面張力 目に浮かぶ目薬と開くあめんぼの脚
                     梅内美華子