天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夾竹桃

大磯にて

 キョウチクトウ科の常緑低木。インドが原産でわが国には江戸時代に渡来したらしい。葉が竹の葉に似て、花は八重咲きが多く、色は淡紅、紅、白、黄など。


     夾竹桃日暮は街のよごれどき      福永耕二
     ひろしまの弔花夾竹桃の白       居升白炎


  六月の曇天のもとくれなゐのにじめる色に夾竹桃さく
                     金子薫園
  墓地かげの夾竹桃の花の色のくれなゐ黒く夕ぐれにけり
                     古泉千樫
  古がめに一枝をりさし はればれし。 庭にも 内にも、
  夾竹桃の花              釈 迢空


  風なぎし午後のくもりの重々しくれなゐ濁る夾竹桃の花
                     植松寿樹
  暗みこし眼にしみてそよぐなり夾竹桃の荒るる花むら
                     岡野弘彦

 
     原爆の記憶忘れず夾竹桃