むくげ

　漢字で木槿と書く。アオイ科の落葉低木で中国原産。五弁花を朝開き夕方にしぼむ。「槿花一朝の夢」とは、栄華のはかなさを譬えた言葉。花の色には、白、淡紫、淡紅などがある。秋の季語で、傍題に「花木槿」「きはちす」「底紅」「白木槿」「紅木槿」「木槿垣」など。韓国の国花（ムグンファ）になっている。

　　　　　道のべの木槿は馬に喰はれけり　　　　　芭蕉
　　　　　高野へと心急かるる白木槿　　　　　川崎展宏

　　はらはらと雀飛び来る木槿(むくげ)垣ふと見ればすずし
　　白き花二つ　　　　　　　　　　　　　　　北原白秋

　　花木槿(むくげ)見るものにして母と娘はいふこともなく
　　只足らひをり　　　　　　　　　　　　　　四賀光子

　　藪原に、むくげの花の咲きたるが　よそ目さびしき
　　夕ぐれを行く　　　　　　　　　　　　　　釈　迢空

　　むらさきの木槿(むくげ)咲(ひら)けばまだ踏まぬ隣国の土
　　黒々と見ゆ　　　　　　　　　　　　　　　影山一男