天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

岡崎市の公園にて

 長鼻目ゾウ科に属する最大の陸生哺乳類。皮膚が厚く毛が少ない。1腹1子で寿命は約60年。
 次の歌の中御門天皇は第114代天皇で、在位は江戸時代の1709年から1735年まで。宮中に象が連れてこられた時のものらしい。


  時しあればひとの国なる獣もけふ九重に見るがうれしき
                 中御門天皇
  真向より皺だみ垂れし象の鼻どこからが鼻ぞ訊いて見よ子よ
                 北原白秋
  八重桜散りくるなべに大き象碁盤の上に足をかけにけり
                 花岡謙二
  絶望の果てのしづけき表情に象が歩めば鎖の音す
                 大野誠
  はなびらをその背の上に乗せたれば脚の鎖の重たき象よ
                 斎藤 史
  飢ゑゆけばしきりに芸をしてみせし象を殺せり戦の日に
                 遠役らく子
  象といふ巨きく真面目な動物の存在理由は沈黙である
                 葉月 詠