天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山羊(やぎ)

岡崎市の公園にて

 偶蹄目ウシ科ヤギ属の哺乳類の総称。エーゲ海の諸島、カフカス、イランなどに分布する野生のノヤギを飼いならしたものという。紀元前7000年ころから家畜として飼われたらしい。用途としては、乳用、毛用、肉用に大別される。


  あたたかし草もみぢ分けみづうみを見に現れし細脚の山羊
                     与謝野晶子
  黍の葉を手にとり持てばかけ来り音たてて噛む山羊の顔なる
                      土岐善麿
  山羊の小屋わづかにひらき雪つもる 女性のごとく山羊は
  をりたり                葛原妙子


  堤防の陰なる部落夕闇に白く聖者のごとくひとつ山羊
                      高安国世
  山羊を曳き登り来たりしこの丘の空のはたてに兄は戦ふ
                      小野茂
  ひさかたのひかり長閑な草はらに山羊の母子が体押し合ふ
                      田村美智代