天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

桜の季節(1)

小田原城にて

 今年は、梅の開花が遅れ、桜の開花時期が早くなった。名所の地元では、イベントの期間設定が大幅に狂って困っているらしい。花見にいつ出かけようか、みんながテレビの天気予報や開花予報を気にしている。特に泊りがけで桜見物に行くとなると、ホテルなどの予約は相当早めにとる必要があるのだが、それが花の時期を外れてしまう事態が起こり得る。私も予約したので、人ごとでない。
 近場で、例年のごとく入生田の長興山、小田原城、西海子小路(さいかちこうじ) と見てきた。少し早めで、五分から八分咲き程度だったが、人出はまだ少なくて気楽に見れた。


     バスを待つ鉄砲宿の桜かな
     老人が老桜を撮る山路かな
     うぐひすのこゑ初々し石地蔵
     城跡のさくらの間に天守
     さくら咲く飛行機雲の空高く
     御用米曲輪(くるわ)を囲む桜かな
     あかがねの門をくぐりぬ桜狩


  長興山しだれ桜は八分咲き蜜柑しほれし山路をくれば
  三百年を超えて立ちたる桜にも咲けば艶あり人惹き寄する
  気忙しく訪ねきたりて落胆す花五分咲きの西海子小路
  年めぐり桜は咲けど本丸に跡形もなしウメ子の象舎