羊(1)
哺乳綱 ウシ目 ウシ科 ヤギ亜科の一種。家畜化が始まったのは古代メソポタミアで、紀元前六千年ごろからという。乾燥した涼しい高原などで飼育された。性質は音順で粗食に耐える。羊毛をとる種類は、綿羊と呼ばれる。肉用の種類もある。日本には奈良時代に朝鮮半島からもたらされた。
雪しづむ夕牧(ゆふまき)のはてに点々と羊は黒き星の
ごとしも 佐佐木信綱
乳房の張りし羊がふえてきて草擦りをればあをき草の香
生方たつゑ
剪毛されし羊らわれの淋しさの深みに一匹づつ降りてくる
中城ふみ子
山ひだの翳りしづけき昼たけて羊のむれは谷にくだりぬ
岡野弘彦
水流す床につぎつぎ投げおろす屠殺を終へし羊十数頭
今西久穂
声高く啼かぬ羊のかなしみをわがものとしてこの丘に立つ
来嶋靖生