天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

コップ(2)

わが食卓から

 短歌でコップを比喩に使った例は、ほとんど無いようである。もっぱら物理的容器として詠われている。


  戦争なぜ止められぬ。床に落ちしコップ鋭利に突きささる
                     五喜田正巳
  流し台のコツプの水によみがへりパセリ一束が緑なす森
                     白石トシ子
  ピシピシとコップ鳴らしてビール飲む樹を切り終へて木の
  香纏ひて               安福ちづ子


  盃をコップにかへて風の夜はわれより受けし傷舐めてゐむ
                     萩原康次郎