天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

牡蠣(続)

NHKテレビ画像から

 2009年11月5日と2013年4月5日の項で紹介した作品と重複しないものを以下にあげる。
 NHKのテレビ番組「キッチンが走る」は、毎週見ているが、その中で東日本大震災の大津波の被害を克服して宮城の牡蠣養殖が復活したことを知った。日本一旨い、というからたのもしい。


     製錬島鉄鎖に牡蠣のからめるも    山口誓子
     生きてゐる牡蠣その殻のざらざらに  山口誓子
     牡蠣焼いて飛ぶ大粒の火の粉かな   長谷川櫂
     わだつみの淋しらの牡蠣びつしりと  長谷川櫂


  着ぶくれて牡蠣を割りゐる媼ありゆふかげ寒き冬の石の上
                      岡部文夫
  掌に殻牡蠣のせて当つる刃を危ぶみ見つつ手はわが出さず
                      千代国一
  悦びの如く冬藻に巻かれつつ牡蠣は棘を養ひをらむ
                     中城ふみ子