天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神奈川の力石17

座間市鈴鹿の泉にて

 座間市の以下の三カ所を訪ねたのだが、二日かかってしまった。実は入谷の道祖神の場所をWEB上の地図で探した時、ポイントする場所を間違えてプリントしたため、現地で見つけることができなかったのである。後から反省すれば、これら三カ所は徒歩で一日で回れる範囲にあった。


座間市新田宿・公民館]
     大山をはるかに望む稲架(はざ)の朝
     力石探して歩く座間の秋
  道の辺の満天躑躅の植込みに一輪咲けるティッシュペーパー
  秋朝の鉄路の脇に輝けり背高泡立草と芒と
  庭隅にいくつか石のころがりてどれもが力石に見えたり
  卵石菱形石を持ち運び力競ひし村の先祖は
  大山の峰をかすむる鶺鴒の鳴き声せはし稲架(はざ)立つ田んぼ


座間市緑ヶ丘・道祖神
  門前の路傍に古き道祖神足止めて見る人もなかりき
  力石らしくは見えぬ石ひとつ古き石碑の間に鎮まる
  道祖神力石置く門前に立てば二階に布団干せる見ゆ


座間市入谷・道祖神
     柿熟れて昔を語る力石
  若きらが石持ち上げて自慢せり娯楽少なき戦後の村は
  青筋をたててふんばり若者が二十五貫の石持ち上ぐる
  石上げて力競ひし若者が身体拭きけむ鈴鹿の泉
  道祖神と並べ置かるる力石赤き柿見ゆ青き空見ゆ