天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

豚(続)

NHKテレビ「キッチンが走る」の画像

 哺乳綱鯨偶蹄目イノシシ科の動物で、イノシシを家畜化したもの。ブタは体重や皮膚の状態、内臓の大きさなどが人間に近い動物であるため、臓器提供用動物として、研究がされており、大学の医学部では解剖学の実習において生体解剖に利用されている。
 すでに2013年7月27日のブログで、短歌作品を紹介しているので、ここではその続きである。日常の会話で人に対して「ブタ」を使う時は、軽蔑を意味するが、短歌ではこうした歌はほとんどない。


  保定城陥落のしらせがひろまりて陣中に今宵は豚を
  屠(ほふ)りぬ             渡辺直己


  ひとむきに豚はひしめく西光にひしと小さき眼を射られつつ
                     河野愛子
  豚となる覚悟なけれどいつの間に豚は近づくうつつの俺に
                     さいかち真
  豚の交尾終わるまで見て戻り来し我に成人通知来ている
                     浜田康敬
  もし豚をかくの如くに詰め込みて電車走らば非難起こるべし
                     奥村晃作
  春の日はぶたぶたこぶたわれは今ぶたぶたこぶた睡る
  しかない               荻原裕幸