天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

カメラ

わが身辺から

 写真撮影のための最初のカメラは1839年フランスの画家ダゲレオが作らせたという。わが国には天保十二年(1841年)頃にもたらされたというから驚く。戦後の日本のカメラ工業の進展は目覚ましく、光学系では世界トップになっている。


  金軟屏(きんなんびよう)かがやく前にカメラ据ゑしばしば
  露出計を人は近づく           五味保義


  吾が初めてあやつるカメラ死に近き妻を幾枚も幾枚も写しぬ
                      清水房雄
  明らかに虐殺のさま写しつつ揺るるカメラよ感情を負ふ
                      島田修二
  卓袱台の上の土瓶の顔だけをカメラにおさめて帰りゆきたり
                      山崎方代
  寫さるるときはカメラの暗闇に笑みつつわれの逆磔(さかさ
  ばりつけ)                江畑 實