天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鋏(続)

わが身辺から

 2012年11月19日の項の続きである。鋏の歴史をみると、西洋では古代エジプトの壁画に鋏が描かれているとか、紀元前1000年ごろの古代ギリシアの鋏が出土しているらしい。日本には6世紀に中国を経由して伝わったとされ、古墳からの出土例がある。ちょっと信じがたいが、量産されるようになったのは江戸時代からであり、庶民に普及したのは江戸時代末期から明治時代という。


  鋏もてメタセコイアの枝を剪れば鳥のごとくにさえだ落ち来も
                       玉城 徹
  封書の封切るひとときや鋏もてあなたの胸をひらく愉(たの)しみ
                       波汐國芳
  めつむれるわれの頭部を周りつつ髪ととのふるはさみ・剃刀
                       宮里信輝
  大ばさみの男の刃と女の刃すれちがひしろたへの紙いまし
  断たれつ                 栗木京子