天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

世田谷の松陰神社(1)

松陰と烈士の墓地

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」に刺激され、二宮町の蘇峰記念館で見た松陰の真筆に襟を正し、また次の有名な留魂の辞世歌に魅せられて、世田谷区にある松陰神社を訪ねてみたくなった。

  身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留めおかまし大和魂
                     吉田松陰

雨があがって晴天のある日、渋谷駅からバスに乗って松陰神社に出向いた。

     石燈籠ならぶ端には梅真白
     書を開き松陰が説く春の塾
     松陰の像に向ひて春うらら


  松陰の気概を吾に伝へたり今に残れる留魂の歌
  年経るも整備寄進を怠らず今にあたらし松陰神社
  松陰の正坐の銅像ふたつあり参道横と塾の向ひに
  松陰の遺骨移して祀りたり大夫山とふ毛利家の領
  功なりし木戸孝允が寄進せし鳥居の奥にねむる松陰
  小塚原回向院より移されし遺骨を想ふ松陰の墓
  松陰の左右に並べる烈士らの墓碑銘古りて読みがたかりき
  松陰に学びし明治の元勲の寄贈の灯籠競ひてならぶ
  石燈籠が左右にならぶ 寄贈者は伊藤、山縣、井上、木戸ら
  昨夜降りし雨あがりたる如月の青空仰ぐ松陰の墓
  塾にくる人を待てるか正座して書を開きもつ松陰の像
  解放は土日祝日と書かれたり雨戸閉ぢたる松下村塾