天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

畳(1)

NHK−BSテレビ「京都御所」から

 畳は日本固有の文化で伝統的な床材。芯材になる板状の畳床の表面を、藺草を編み込んで出来た敷物状の畳表でくるんである。大昔は藁を重ねただけだった。現代の畳に近づくのは平安時代に入ってから。


  瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり
                       正岡子規
  梧桐の夏をすがしみをりをりは畳の上にねまく欲りすも
                        長塚節
  朝冴えのあかるき室に目さめつつ青き畳をともしみにけり
                       古泉千樫
  散り来つる畳のうへの枯葉にて或る時は火箸もてはさみけり
                      前川佐美雄
  零下十六度足袋はかぬ子がつま立ちてたたみを歩くあかき
  そのあし                 斎藤 史


  此の一年を吾が一生の空白とも否とも思ふ畳にめざめて
                       小暮政次