畳は日本固有の文化で伝統的な床材。芯材になる板状の畳床の表面を、藺草を編み込んで出来た敷物状の畳表でくるんである。大昔は藁を重ねただけだった。現代の畳に近づくのは平安時代に入ってから。
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり
正岡子規
梧桐の夏をすがしみをりをりは畳の上にねまく欲りすも
長塚節
朝冴えのあかるき室に目さめつつ青き畳をともしみにけり
古泉千樫
散り来つる畳のうへの枯葉にて或る時は火箸もてはさみけり
前川佐美雄
零下十六度足袋はかぬ子がつま立ちてたたみを歩くあかき
そのあし 斎藤 史
此の一年を吾が一生の空白とも否とも思ふ畳にめざめて
小暮政次