虫干し
夏の土用の晴天にカビや虫の害を防ぐため、書籍やめったに着ない衣服などを日に干したり、風に曝したりすること。土用干、虫払い、風入れなどとも。特に書画の場合には、曝書という。
うすじめる書(ふみ)もちいだしさ庭べの隅(すみ)のひかりに
書(ふみ)なめて干す 斎藤茂吉
思はざる鴨居に蝉の殻つけり虫干の衣吊さんとする
初井しづ枝
若き∧明治∨はたのしかりしや 袖ひろげ土用干せる母の紋服
斎藤 史
ちりめんのなまめかしきがうら淋し母となりける秋の虫干
今井邦子
一日の閑暇埋めて夥しき死語あり父がいそしむ曝書
安永蕗子
なるやうになれと曝書も怠りて長き年経ぬ「漢書」「後漢書」
清水房雄
縁側に江戸切絵図(えどきりゑず)をひろげては日に干しをりき
わが父上は 小池 光