終戦記念日(2)
安倍総理の戦後七十年談話は、世界史にのこるものになるのではないか。今後は自衛に徹するのが精いっぱい。ただ、自衛のための戦争という不安は大きい。
終戦記念日になると戦争反対の声が一段と高くなるが、根本の問題についての思考が停止しているように思われる。東大・教養学部の時に、政治学の講義を受けて、唯一印象に残ったのが、「人類は話合いで決着がつかない時に戦争に訴えることになる」という話であった。国家間にせよ集団間にせよ、この話は真実をついていることが、現代の様々の紛争を見るにつけ、よくわかる。どうやったら話合いで解決できるか、を議論し模索することが肝要なのである。国連の国際司法裁判所も、戦争を止める力を持たない。どうすればよいのか?
美しき信濃の秋なりし いくさ敗れ黒きかうもり差して
行きしは 葛原妙子
戦の日、戦に負けし日、顕ちきたり春浅き山の尾根たどり
ゆく 佐藤美知子
草中に刀をはふりて立ち尽す敗戦の日は暑かりしかな
大越一男
敗戦を迎へたる日に崩しゐしこの斜面いまも草いきれして
吉野昌夫
敗戦の日の熱き記憶また蘇る夕べ見てをり子らの遠花火
高峯正冏
ともし火の明石桜鯛かぶと蒸し緒を締むる間もなき負け
いくさ 山埜井喜美枝