むささび(2/2)
地方によって、ノブスマ、バンドリ、オカツギ、ソバオシキ、モマなど多数の異名がある。日本の固有種は、ホオジロムササビである。冬眠はしない。ムササビとモモンガは古くから混同されてきた。相違点としては個体の大きさが挙げられるが、飛膜の付き方にも違いがある。ムササビの飛膜は前肢と首、後肢と尾の間にもあるが、モモンガの飛膜は前肢と後肢の間だけにある。
ムササビが夜の樹にゐてそのまなこ光らするとき人間は撃つ
持田勝穂
廃屋にむささびが来て棲むといふむささびは仔を産み育てむか
斎藤 史
夜を光る月夜茸(つきよだけ)にしきり逢ひたくてむささびども
は出でてゆくらむ 斎藤 史
夜のさくら咲きしづまれる谷ふかく尾をひきて飛ぶ雌雄(めを)
のむささび 岡野弘彦
むささびの四肢ひろげとぶ平たさの窓なきような人生のこと
渡辺松男