天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

小田原城「御感の藤」

小田原城にて

 桜の花の次は海棠の花と見ているうちに藤の花房が目立ち始めた。年の為に大船フラワーセンターに行って藤棚の様子を確認したら、満開に近い種類もあったが、野田藤はこれからという咲き始め。雨もよいの日の後に晴天の日がきたので、じっとしておられず小田原城「御感の藤」を見に出かけた。
小田原城天守閣は耐震改修工事中で入れない。一部に八重桜が咲き残っていたが、木々の新緑が美しかった。野田藤の「御感の藤」は、整備された棚から咲き始めの房を沢山垂らしていた。この雰囲気にそぐわないのが、富士山麓の砲撃演習の音である。将来、日本は自力で国を守らざるを得ないので、軍事訓練は欠かせないのだが、砲撃の音はなんとも不気味である。


     新緑の北條五代祭りかな
     野田藤や御感の藤の咲きそむる
     花と葉と五分五分になる八重桜
     濠端は楠大木の若みどり
     蓮葉のをさなに触るる鯉の鰭
     葉桜や耐震工事の天守
     葉桜のおほひかむさる東司かな


  幟には五月三日と描かれたる北條五代祭り 小田原
  地震(おほなゐ)に崩れし熊本城あれば小田原城
  耐震工事


  地震(おほなゐ)にそなへて改修工事せる小田原城
  高きクレーンは


  小田原城「御感の藤」を見にくれば咲きはじめたる房
  あまた垂る


  藤棚にあふれて垂るるノダフジは「御感の藤」と名付
  けられたり


  樹齢約二百年といふ壮年を過ぎたる古木「御感の藤」は
  小田原は富士の麓に遠けれど今日もひびかふ砲撃の音
  蓮葉(はちすば)はまだ幼くて開かざり濠に映れる楠
  の新緑


  新緑の楠の大樹の下蔭に暗く鎮もる神社本殿
  新緑の草木茂れる石垣にひときは目立つ躑躅の群は