天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

カササギ

イギリスの山林に棲むカササギ(NH

 カラス科の鳥で、中国・朝鮮か北九州に来る天然記念物である。古典では七夕説話で星の仲立ちをし、翼で橋を渡す鳥として知られている。「鵲の橋」については、2009年7月11日にご紹介済み。光る物を集める習性がある。雑食性。カシャカシャカシャという鳴き声が名前の由来とされる。漢字では鵲と表記。


  みささぎのうへに年ふる楡(にれ)の樹に鵲来鳴く
  ひとつかささぎ           斎藤茂吉


  上野なる動物園のかささぎは肉食ひゐたりくれなゐの肉を
                    斎藤茂吉
  万代の杉の繁山さみしさの秋を鳴きたるかささぎのこゑ
                    太田水穂
  鵲が来て鳴くときにやや離れ続きてなけりとはのなからひ
                    二宮冬鳥
  鵲の瑠璃黒の羽の光るゆえ山の気とみに冷えまさるな
                    加藤克巳
  つややかな漆黒の羽根一枚を落せる鵲いづこへ去りし
                    宮 英子
  静まりし昼の漁港にかささぎのつと魚捕りて食むをみており
                    下村道
  鵲が腐肉くらへり愛別離、愛別離われなにを愛せし
                    塚本邦雄