天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

光苔

NHKテレビ「ふるさとの富士」の映像

 ヒカリゴケ科ヒカリゴケ属の原始的なコケ植物で、本州中部以北の洞窟や大樹の根本などの薄暗い湿地に生える。球形の原糸体細胞がレンズの役目により微弱な光を集め、それを葉緑体が反射するという仕組みらしい。世界的には、ロシア極東部やヨーロッパ北部、北アメリカなどの地域にも分布する。


  ひかりごけのように漏れいる図書館のあかりを見つめる
  君を見ている               岸本由紀


図書館の多数の窓の明りをひかりごけに直喩した点は良かった。ただ下句の「見つめる・・見ている」が、音韻の面でよろしくない。これは口語短歌にしていることからくる窮屈さであろう。「あかり見つむる君を見てをり」と文語調にすれば簡単に処理できる。あるいは口語に徹するなら、抒情性が少し強まるが、「あかりを見つめる君を見ていた」とすればよい。