天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

吊り橋

渓谷に懸かる吊り橋

 橋の構造が、綱などの張力で部材を吊り下げ支える形式のもの。昔から峡谷に懸けたものが知られており、日本全国にある絶景としてwebなどで写真を容易に見ることができる。現代では明石海峡大橋が世界最大の吊り橋となっている。


  ひぐらしのかそかに鳴ける峡を来て空に吊せる吊橋渡る
                    都筑省吾
  吊橋の影を横たふ深谿の岩より現(あ)れて鳥の尾を振る
                    上野勇
  何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない
                    河野裕子
  吊橋を渡り了りて見返るはなお揺れやまぬこころ視むため
                    橋本喜典

 河野裕子の歌は、「吊り橋」が比喩しているものが何かを理解しなければならず、少し難しい。吊り橋を渡ろうとすると人は不安になる。それと同じ感情・表情を作者は相手に認めたのであろう。


[参]右上の画像はNHK-BS「にほん100トレッキング」の映像から。