天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

御宿

笠森観音

笠森観音
懸崖の御堂に立たす金色の闇をまとへる笠森観音
懸崖の御堂高きに妻ひとりのぼりてゆけり御仏に会ふ
本数の少なきバスに乗りたれば帰りに会へる運転手同じい


御宿
亭々とホテル、マンション建ちたれどその人影を見ざる御宿
立ち寄りし御宿の夜の砂浜に詩人は見たり月の砂漠を
絵も詩(うた)もをさなく見ゆる詩画集を月の砂漠の記念館に買ふ
もの思ふ指に書きたる砂文字を潮風が消す嗚呼お姉さま
砂浜の待宵草にかがみ込む和服の少女胸を病むらし
ふたりして月の砂漠を行くめれどビーチバレーの水着の処女(をとめ)