天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大雄山

       大杉の根の底知れず著莪の花
       大杉の梢は暗し著莪の花
       藤棚やペットボトルの水を飲む
       大寺の赤き石楠花大雄山
       鐘楼に龍が巻き付く若葉風
       銅鑼打つや赤き石楠花目に滲むる
       銅鑼打つや石楠花赤き和合下駄
       参道の山門くぐる著莪の花


    銅鑼打ちて法螺貝吹けり初夏の光あふるる大杉の森
    初夏の光まぶしき大杉の森にとどろく法螺貝の声
    大杉の森に石楠花著莪の花岩壁はしる滝水の音
    オロナミンの空瓶ひとつ置き去りし青きベンチの人を思へり
    モデルルームの看板掲げ立つ男視線に耐へてうす笑ひせり