天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

地震に会う

極楽寺

 今日で短い夏休みが終る。特に行くあての無い日は、江ノ電の一日乗車券を買って極楽寺に行き、そこから長谷寺あたりを歩くのが、定番の吟行コースである。
極楽寺の庭には鬱蒼と百日紅が咲いていた。

        山門をあかるくしたる芙蓉かな
        その下は赤き浄土や百日紅
        あかあかと庭くらめたり百日紅
        立札や空蝉ふたつしがみ付く
        にはか雨ひときは暗き百日紅
        呆然とさるすべり見る雨やどり
        雨に逢ふ極楽寺坂夏帽子
   極楽寺みるみるたまる雨水に押し流さるる百日紅の花


長谷寺の庭を歩いていたら大地が揺れた。
        睡蓮の白きに赤き金魚かな
        金魚棲む池に睡蓮白きかな
        地震(なゐ)くるや突如消えたる蝉の声
        のうぜんの花と大地と揺れにけり
        凌霄花(のうぜん)や地震にかけだす寺男
        大地揺る南無観世音凌霄花
   山百合のまだつぼみなる竹藪ににはか雨過ぎ蝉鳴きはじむ
   写経する人影はなし長谷寺地震(なゐ)に揺れたる凌霄花
   (のうぜんかづら)


甘縄神明社は、静御前とその母磯禅尼(いそのぜんに)が幽閉されていたところである。

        蝉しぐれ幌かけ走る人力車
   鎌倉のみ越の崎の石崩(いしくえ)の山路に聞きしひぐらしの声


鎌倉文学館では、義経展を開催していたが、感心するような資料は無かった。

        薔薇咲けど外壁工事文学館
   雨あがり薔薇よみがへる文学館『吾妻鑑』の複製を見る