鉄砲宿草刈跡に死人花
江ノ電や座席を立ちて秋の海
月影に萩の花散る極楽寺
大鐘を吹く風に揺る百日紅
鐘楼の屋根に届かず百日紅
輪蔵に人列なせり竹の春
泡立てる筧の水や梅もどき
三汀の胸像青む花芙蓉
はかなさや花はかすみの藤袴
長谷寺に人目を忍ぶ藤袴
八重一重咲分け桜の根方には彼岸花咲くつくつく法師
極楽寺つくつく法師の声聞きて萩の花散る千服茶臼
透きとほるうすき衣を震はせて声はりあぐるつくつく法師
朝夕の読経の声に浄められ色の抜けたる白彼岸花
大いなる雄の銀杏に抱かれてその実散らせるをみなの銀杏
面掛の行列終へし境内に七福神の衣装干したり
うら若き雄の孔雀を一羽飼ふ谷戸のふる寺さびしからずや
宝籤売り場に置ける招き猫左手動きまた一人くる