天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

萩の花

萩

        鉄砲宿草刈跡に死人花
        江ノ電や座席を立ちて秋の海
        月影に萩の花散る極楽寺
        大鐘を吹く風に揺る百日紅
        鐘楼の屋根に届かず百日紅
        輪蔵に人列なせり竹の春
        泡立てる筧の水や梅もどき
        三汀の胸像青む花芙蓉
        はかなさや花はかすみの藤袴
        長谷寺に人目を忍ぶ藤袴


   八重一重咲分け桜の根方には彼岸花咲くつくつく法師
   極楽寺つくつく法師の声聞きて萩の花散る千服茶臼
   透きとほるうすき衣を震はせて声はりあぐるつくつく法師
   朝夕の読経の声に浄められ色の抜けたる白彼岸花
   大いなる雄の銀杏に抱かれてその実散らせるをみなの銀杏
   面掛の行列終へし境内に七福神の衣装干したり
   うら若き雄の孔雀を一羽飼ふ谷戸のふる寺さびしからずや
   宝籤売り場に置ける招き猫左手動きまた一人くる