天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

池の鯉

 すっかり涼しくなった。昼休みを過ごす靖国神社の神池の端に、数本といった程度だが彼岸花が咲いている。錦鯉たちの動きをじっと見ていると、この狭い池で一生を終えるのかというやりきれない思いが湧いてくる。心なしか鯉の目には光が乏しく、虚ろである。


   浮びきて水面の落葉吸ひ込めるおほき緋鯉の眼濡れたり
   東京の地酒といふも珍しく壜のラベルをつくづく見たり
   東京の地酒も売らる陶器市に信楽焼きのぐい呑みを買ふ