天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

上村松園

 やっと山種美術館にゆくことができた。今は上村松園特集「松園と美しき女性たち」を開催している。松園は、明治八年京都四條の葉茶屋に生まれた。日本美人画で一世を風靡し、昭和二十三年に女性初の文化勲章を受けた。「・・・女性は美しければよい、という気持で描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。」という言葉に、彼女の日本画の理想を見る。


   肉感のはつか匂へり猪首とも見ゆる舞妓のうつむきかげん
   首筋のゆたかに白き肉置(ししお)きの舞妓は庭の雪を
   見てゐる


   しどけなく帯むすびたり夕闇の蚊帳を吊るまま蛍見てゐる
         女生徒の胸気にするも金木犀