天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

箱根駅伝復路

吾妻山・菜の花畑

 こんな波乱が起きるとは。今日は、遊行寺坂で待っていた。遊行寺坂を一番に駆け上ってきたのは、往路の一位・順天堂大の走者であり、二位との時間差は数分あったので、このまま復路も征するのだろうと思った。ただ、坂を駈けてゆく姿は、かなり苦しそうにみえ、少し気になった。最後の走者が過ぎて交通規制が解除された後は、吾妻山にゆくことにして電車に乗った。
 例年のように新聞の湘南版で、吾妻山山頂の菜の花畑が歳末から正月にかけて見頃になるという記事がでる。西の空に雪雲の切れ端の塊が出てきたが、太陽は燦燦と耀き、相模湾が光ってまぶしい。菜の花には蜜蜂が群れて蜜を集めるのに余念がない。


  初春の東海道をひたはしる八十二度目の箱根駅伝
  復路くる走者はまだか遊行寺の墓地の裏手に腰掛けて待つ
  ハーレーのエンジン音の高ければ走者の位置のラジオ聞こえず
  湯気たてる駅伝走者をはげませり遊行寺坂の土手にならびて
  ヘリコプター二機ホバリングせる正月の空の下ゆく箱根駅伝
  老人の多き沿道大学の名前をらびて走者はげます
  駆けのぼる遊行寺坂の小暗きに吐く息白き駅伝走者
  ひかる海、菜の花畑、雪の富士 この初春のめでたからずや

        菜の花のひかりあまねき吾妻山
        菜の花や葉に金剛の露あまた
        初春の浅間神社大鴉
        西空に黒雲出づる雪中花


 家に帰ったら、テレビで大手町にゴールする箱根駅伝の走者たちが映っていた。なんと復路の一位は、亜細亜大であった。思いも寄らない展開になったらしい。プレイバックによると遊行寺坂をトップで走っていった走者が、戸塚中継所手前で脱水症状を起こし、倒れる寸前、ふらふら歩いているではないか。その間に次々に追い抜かれた。でもなんとか襷を手渡せた。