天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春の湘南平

九尾の狐

 朝九時に毎月一回の定期診断のために藤沢の医院を訪れ、今回は血液検査のための採血をし、いつもの血圧とコレステロールの薬を処方してもらい、マクドナルドでチーズ&ソーセージのバーガーを食べ大磯に行った。高田保公園から湘南平にのぼる。



  鉄柵につながれて待つ黒き犬男の入りし扉見てゐる
  飼ひ主のゆくへ見つむる黒犬のひとみ濡れたりつながれて待つ
  飼ひ主現れたれば尾をふりて腰にとびつく黒き犬はも
  大磯の裏山ゆけば春ちかし小さき祠に九尾のきつね
  春ちかき雑木林に見る冨士の眠りは白きしののめの空
  東海の空にしらじらたつ富士の嘆きは深き大沢崩れ
  目を凝らし望遠鏡を向けたれば富士のなだりに雪けむり立つ
  テレビ塔尖端に啼く一月の鴉は見ずや富士の雪崩を
  如月の雑木林に鳥むれて声にぎはしく春告ぐるなり

        うららかや日ざしに変る海の色
        丹沢の奥処ゆかしき春霞
        大山の肩なだらかに春霞
        うららかや古墳時代の横穴群
        高麗山(こまやま)の木立うるはし笹子鳴く
        木洩れ日の残雪まぶし谷戸古墳
        あかあかと椿ちりこむ谷戸の沢
        影あはく日差しうつろふ寒椿