天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

浪子不動

不如帰碑

 今日は、はじめて逗子の浪子不動を訪ねた。実につまらないところであった。雨戸を立てまわして中を見る隙間もない。市街からえらく離れているので訪れる観光客もいないのだが、裏山の披露山公園には、自動車で多くの人が来ているのだから、お堂の内ぐらい見せるようにしたらよさそうなのに。海の中に「不如帰」の石碑が立っている。しかし、今の世の中では、この石碑に立ち止まる人などいない。徳富蘆花の小説「不如帰」を読む若者は皆無であろう。石原慎太郎の「太陽の季節」でさえ知っている若者は少ないであろうから。こんな愚痴を言うようでは年代がわかってしまう。


  春風にうす羽根立ててうかびたり憂ひ忘れしサーファの群
  海光り黒き人影立ち上がる波を離れしサーフィンの群
  浅き海に黒々立てるいしぶみの「不如帰」といふ訪ふ人もなき
  浅海に朝日背にして黒々と不如帰とふ石碑はたてり