2006-01-27 現代の定家(7) 塚本の戀の歌の続き。「水銀傳説」は、ヴェルレーヌとランボーの同性愛を歌った連作である。ヴェルレーヌからランボーにあてた五十首と、ランボーからヴェルレーヌにあてた五十首の二部構成をとる。 五月新緑みなぎる闇に犯しあふわれらの四肢の逆しまの枝 われの耀くいづこを狙ひ荒淫の彼の手のわななける拳銃 *一八七三年、ランボー十九歳。七月十日、ヴェルレーヌに 別れたいと言い出して怒りを買い、ヴェルレーヌはランボー に向かって拳銃を発射した。左手首に負傷した。 この時のランボーの立場で詠んだ歌。 なお、ヴェルレーヌがランボーに会ったのは一年前で、 彼が二十八歳のとき、そして家庭を捨てた。