天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

レトリック4

 売り言葉に買い言葉、という言い方がある。対比という修辞法である。ふたつの観念のあいだに対照関係を設けて、両者がたがいに引き立てあうようにすることばのあや。ことわざや格言に対比表現が多い。口あたりのいいわりには、心に印象を残すことがない、という欠点がある。


  馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人恋はば人あやむるこころ
                          塚本邦雄
 馬/人、洗はば/恋はば、冱ゆる/あやむる といった対比である。


わが歌から、
  カチャーシー手の振る舞ひにあらはるる男をどりと女をどりと

下句の、男をどりと/女をどりと に工夫したつもり。ただ、調子に流れてしまう危険あり。