天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

切通し

亀ヶ谷坂

 鎌倉七口と言われる切通しがある。亀ヶ谷坂、朝比奈切通巨福呂坂化粧坂、大仏切通、名越切通極楽寺坂 の七箇所である。切通とは、山の尾根部分を掘り下げて通行可能にすると同時に、敵の侵入に対する防御施設である。今日は、北鎌倉駅から亀ヶ谷坂海蔵寺、浄妙光寺寿福寺鎌倉駅へと歩いたが、亀ヶ谷坂は、扇ガ谷と山ノ内を結ぶ道で、鎌倉から武蔵方面に通じる重要な出入り口であり、中世鎌倉の旧状をよくとどめているという。鎌倉街道中ノ道の基点とされている。
 海蔵寺寿福寺では熟年の男女の群が写生していた。真言宗泉涌寺派泉谷山・浄妙光寺は、鎌倉をよく知っている観光客でもめったに訪れない。石像の楊貴妃観音が山門の横にある。裏山には冷泉為相の墓がある。兄と資産の係争になり母の阿佛尼と共に鎌倉幕府に訴えて関東に下った。結局、鎌倉に骨をうづめることになった。


     句碑読めば赤き石楠花目に沁みて
     黄菖蒲の花咲きみてる小川かな
     緑陰の山門くぐる子等の声
     うぐひすの声したたるや切通
     うぐひすや銅版に読む長恨歌 


  イヌマキの大樹二本が枝伸ばし常緑(とこみどり)なす闇を作れり