平塚の七夕
七夕のことは、七五一年に成立した現存する日本最古の漢詩集『懐風藻』にでてくる。それから後の万葉集などの和歌には、さかんに詠まれる。
天の河楫(かぢ)の音(と)聞ゆ彦星と織女
(たなばたつめ)と今宵逢ふらしも
万葉集巻十・柿本人麿歌集
人麿らしい素朴でおおらかな読みっぷりである。
七夕の竹さしかはす飾りかな
七夕を見上げてうれし車椅子
人麻呂や七夕祈願和歌飾り
七夕や問屋場跡の碑を読める
亀すくひ金魚すくひの屋台かな
七夕や少女の下駄の高鳴れる
七夕の飾り少なし町はづれ
七夕のあかりとどかず相模川
店先に竹を束ねてさし交はす湘南ひらつか七夕まつり
七夕の平塚宿をはさみたる江戸方見附京方見附
さらさらと七夕かざりの吹流し人くりだせる平塚の宿
浮世絵の雪洞掛かる大店の前の通りの七夕かざり
身障者認知症の子ら笑みつどふ竹さし交はす七夕通り
おそろひの浴衣着てくる少女らの腰をしめたる帯のあやふし
少女らの浴衣しめたる蝶むすび母の願ひをこめてうつくし
役者絵のくまどり顔が見下ろせるお化け屋敷の暗き入口
広重の五十三次浮世絵の大磯、平塚、藤沢の宿
春信の美人画描ける雪洞は寿司屋の前の七夕かざり
遊狂廊話の場面描きたり子の問ひかけは親を困らす
サッカーのフィギュアスケートの顔もあり湘南ひらつか
七夕まつり
血液のドロドロぐあひ見るといふ椅子ならべたる無料体験
役者絵も武者絵も描ける雪洞を高くつるせり大店の前
平塚の塚跡といふ杭たてり七夕まつりの町のはづれに
広重の錦絵に描く高麗山をまなかひに見る京方見附